dstat プラグインの書き方

監視したい項目をdstat pluginにしておけば、fluent-plugin-dstat でどこにでも飛ばせるしdstatでCLIも存在するしcsvにも吐き出せるしでとても便利な気がした。 だけど公式ドキュメントにもpluginの書き方が見当たらなかった。 そのため、基本的な書き方をまとめておく事にする。

pluginの配置場所

dstatのpluginは以下のディレクトリに配置した。 dstat_plugin_snake_case.pyが読み込まれる。 ~/.dstat/配下に置くのが手軽で影響範囲も少なくて良さそう。

  1. ~/.dstat/
  2. $(which dstat)/plugin/
  3. /usr/share/dstat/
  4. /usr/local/share/dstat

プラグインを書いてみる

以下のファイルを.dstat/dstat_hello.py に配置してdstat - helloを実行してみる。

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class dstat_plugin(dstat):
  def __init__(self):
    self.type = 'd'
    self.width = 5
    self.scale = 1000
    self.vars = ['hello', 'world']
    self.nick = ('apple', 'orange')
    self.cols = 2
  def name(self):
    return self.vars
  def extract(self):
    self.val['hello'] = (100000, 100800)
    self.val['world'] = (10000, 100)

初めてのdstatプラグイン

プラグインの構成要素

soファイルでプラグインを作る事も可能だがここではpythonで書く事を想定する。 plugin内ではdstat_pluginクラスを作成する必要がある。 最低限定義すべきメソッドは__init__, extractの2つ。

プラグインのイベントフック

各イベントの意味付けや仕様は後述する。

ロード時の実行内容

  1. dstat_plugin classのインスタンス生成
  2. prepare(): ユーザー定義しない
    1. discover(): データ取得可能か判断する(mysql用pluginなど)
    2. vars() or vars: 必須: 後述する
    3. name(): 必須: 後述する
    4. nick() or nick: ユーザー定義可能: 後述する

実行中のイベント

  1. extract()

プラグインの種類

プラグインの扱うデータの構造により大きく2つに別れる。

階層を持つもの

cpuやdiskの様に複数の出力元が存在しグループが複数存在する

階層を持たないもの

loadaverage の様に出力元が単一

各イベントフックの仕様

dstat_plugin pluginの読み込み開始にインスタンス生成される。 check()で最低限の健全性を確認しprepare()メソッドで初期設定が行なわれる。 そのためインスタンス生成後に以下が定義されている必要がある。

フィールド 意味
name dstatのヘッダの一番上の行に当たるブロックの名前
vars (項目名の一覧 or それを返却する関数)
nick 各項目の名前
type 出力される値のタイプ
width 出力されるカラムの幅
scale 値のスケールを入れる、まだ理解出来てない
cols nickの項目数、設定値による挙動を理解出来ていない

値の中身

type メンバ

s: 文字列, d: 整数, f: 浮動点数, p: 割合(パーセンテージ)

scale メンバ

値のスケールを設定する(デフォルトは1000)1024だとByteで末尾にBが付いたりする 1000 or 1024だとk, Mなど接頭辞が付く

name, vars, nickは階層を<持つ/持たない>により内容が変わるため別説で記述する。

name, vars, nick の3項目とデータ構造の関係

name, vars, nickの3メンバはデータ構造に合わせて内容が変わる。 これは実行中に呼ばれるextractメソッドの挙動と整合性を保たねばならない。 この3項目はメンバがデータ構造に合わせた値でも、そのような値を返す関数でも動く。

nameはプラグインの一番上のタイトル部分を担当

階層を持たない場合

タイトルに当たる文字列 or そのような文字列を返す関数

階層を持つ場合

タイトルを格納したリスト・タプル or そのようなリスト・タプルを返す関数

varsはプラグインの第1階層の属性名を担当

階層を持たない場合

項目名にあたるリスト or そのようなリストを返す関数

階層を持たない場合

サブグループ名にあたるリスト or そのようなリストを返す関数

nickは実際に表示される値の項目名を担当する

階層の有無にかかわらず

項目名にあたるリスト・タプル or そのようなリスト・タプルを返す関数

extract() の仕様

extract()は実行中に呼ばれ出力する値をメンバ変数valに辞書として格納する。 valが出力に用いられるが、中間値としてメンバset1, set2 を使って次回に値を引き継ぐ事も可能。

階層を持たない場合

辞書valにはvarsに含まれる名前をキーに値を格納する。

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class dstat_plugin(dstat):
  def __init__(self):
    self.name = 'title'
    self.vars = ['apple', 'orange']
    self.nick = ('id')
  def extract(self):
    self.val['apple'] = 1
    self.val['orange'] = 2

階層を持つ場合

辞書にはvarsに含まれる名前をキーにnickと対応する様にリスト・タプルを格納する。

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class dstat_plugin(dstat):
  def __init__(self):
    self.vars = ['apple', 'orange']
    self.name = self.vars
    self.nick = ('id', 'count', 'sale')
  def extract(self):
    self.val['apple'] = (0, 20, 200)
    self.val['orange'] = (1, 10, 200)

便利メソッド

メソッド 機能
open 複数のファイル名を渡すと登録されファイルハンドラを保持する
readlines 保持されているファイルハンドラを順々にreadlinesするgenerator
splitlines 保持されているファイルハンドラのreadlines結果をsplitして結果を返してくれる

他にもtitle, colwidthなど整形や出力に関わるメソッドが定義されていた。 dstatのコード内のdstat_cpuなどを読むと、使い方が分かる。 これでdstatのプラグインを簡単に作れる。めでたしめでたし。

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